特別受益とは?生前贈与との関係や遺産相続への影響について
被相続人から生前贈与を受けている場合、その贈与が「特別受益」にあたると評価されることがあります。過去にあった贈与がすべて特別受益となるわけではありませんが、該当する場合はその分遺産相続できる分が少なくなってしまいます。
そのため贈与をする方・贈与を受ける方は、実行する前に、将来の相続を見越して特別受益についても知っておくことが望ましいです。
特別受益とは
「特別受益」とは、被相続人から受け取った特別の利益のことです。
これには「生前贈与として受け取った生計の資本等」や「遺贈により取得した(遺言書の記載に従い受け取った)財産」があります。
生前贈与=特別受益ではない
遺贈に関してはそれが特別受益であるとわかりますが、具体的に財産の種別や金額などが指定されていないため、生前贈与に関しては贈与時点で「これは特別受益にあたる」と判断することが難しいものもあります。
生前贈与のすべてが特別受益に該当するわけではありませんので注意してください。例えば子どもに渡した学費・教材費、生活費などは通常特別受益とは評価されません。
特別受益にあたる生前贈与
親には子を扶養する義務があります。そのため教育にかかる費用や生活に必要なお金を仕送りしたとしても上述のとおり特別受益とは評価されません。ただしそれも常識的な範囲内の話であって、あまりに相場からかけ離れた額を渡していたのでは特別受益と評価されても仕方ありません。
不動産を贈与した場合や不動産を購入するための資金を与えた場合、結婚持参金や結婚支度金を渡した場合にも特別受益に該当する可能性が高いです。
その他にも、贈与者の財力からみて特に高額な財産を生前贈与があったと思われるとき、特別受益に該当する可能性は高くなります。ポイントは「他の相続人に比べて特定の人物だけ特別扱いを受けたといえるかどうか」です。そのため同じ金額を贈与したときでも状況によって判断結果が異なるケースもあることは留意してください。
生前贈与の時期は関係ない
特別受益かどうかの判断に、「生前贈与が行われた時期」は関係ありません。
相続が始まる1年前に実行された贈与でも、20年前に実行された贈与でも、特別受益に該当し得ます。
ただし、相続分を調整することに対立があるときは、相続分の減額を求める方が「あなたは過去にこのような生前贈与を受けていた」と証拠を提示しないといけません。その意味では、数十年以上も昔の生前贈与だと特別受益として認められにくい、ともいえるでしょう。
特別受益の持戻し
特別受益は遺産の先渡しであるとして、その分を考慮した法定相続分を算定し直すことになります。
例えば過去に1,000万円の特別受益を受けている場合、相続財産の総額にいったんこの1,000万円を加えてから法定相続分で按分し、受贈者からはその分を控除します。この特別受益を相続財産に加える処理は「持戻し」と呼ばれます。
例)法定相続人は子A・B、現に残っている相続財産5,000万円、子Aに対する特別受益1,000万円とする。
STEP1:持戻し 5,000万円+1,000万円=6,000万円
STEP2:法定相続分で按分 6,000万円×1/2=3,000万円
STEP3:特別受益の控除(Aのみ) 3,000万円-1,000万円=2,000万円
結果:Aの相続分は2,000万円、Bの相続分は3,000万円となる。
相続分を減らさずに生前贈与をする方法
贈与者としては、その方を特別扱いしたいという思いがあるかもしれません。それにもかかわらず結局相続時に調整をされてしまっては他の相続人との差がなくなってしまいます。
これを防ぎたいときは、遺言書で「〇〇に対する持戻しをしない」といった旨を残しておきましょう。こうすることで被相続人の意思が尊重され、受贈者が多く利益を得ることが実現されます。
※受贈者が配偶者(婚姻期間20年以上)であって贈与したのが自宅として使う不動産であるときは、遺言書がなくても、持戻しをしない意思表示がなされたものとして推定される。
Basic Knowledge
当事務所が提供する基礎知識
-
生命保険を活用した相...
相続対策として生命保険を活用するのは、有効な手段のひとつです。本記事では、生命保険を活用した相続対策の仕組みや注意点について解説します。生命保険を活用した相続対策の仕組み生命保険を利用して相続対策をする場合、受取人が相続 […]
-
相続税申告までの流れ...
相続税には申告の方法と申告の期限があります。一般的な相続税の申告手順は次の通りです。①被相続人がなくなった後、相続人と相続財産の整理を行う。ここでは、相続財産が何かをまとめ(財産目録の作成)、相続人の確認を行います。この […]
-
生前対策を税理士に相...
生前対策を行うことで相続の際の問題を数多く解決することが可能です。例えば、ありがちな争族の問題であれば生前に話し合い贈与を行うことによってそれぞれに納得のいく財産が残るため争いを避けやすくなります。また、突然の相続税負担 […]
-
合資会社と株式会社で...
合資会社は無限責任社員と有限責任社員が混在する持分会社で、有限責任社員しかいない株式会社とは性質が大きく異なります。その違いは両社の事業承継の方法にも反映され、進め方や採れる選択肢には差があります。合資会社での事業承継の […]
-
相続税の申告漏れがあ...
「相続税の申告書に漏れがあることが判明したが、どのようなペナルティが課せられるのか」「事前に相続税に申告漏れがないかどうか確認してもらうことはできないのか」「そもそも相続税納税の義務があるかどうかが分からない」。相続税に […]
-
自分で相続税の申告を...
亡くなった方に多くの遺産があるときは相続税の申告が必要になるかもしれません。そして相続税の計算や申告書の作成に関しては税理士に任せるケースが多いものの、ご自身で対応してもいけないわけではありません。 ただし、ご自身で申告 […]
Search Keyword
よく検索されるキーワード
-
エリアに関するキーワード
- 贈与税申告 相談 税理士 練馬区
- 生前対策 相談 税理士 目黒区
- 生前対策 相談 税理士 文京区
- 生前贈与 相談 税理士 豊島区
- 生前対策 相談 税理士 板橋区
- 池袋 相続税対策
- 相続税申告 相談 税理士 練馬区
- 池袋 生前贈与
- 贈与税申告 相談 税理士 豊島区
- 相続対策 相談 税理士 文京区
- 生前対策 相談 税理士 練馬区
- 相続税申告 相談 税理士 目黒区
- 生前贈与 相談 税理士 目黒区
- 生前贈与 相談 税理士 文京区
- 相続対策 相談 税理士 板橋区
- 贈与税申告 相談 税理士 文京区
- 相続税申告 相談 税理士 豊島区
- 生前贈与 相談 税理士 練馬区
- 相続対策 相談 税理士 練馬区
- 相続対策 相談 税理士 豊島区
Certified Public Tax Accountant
税理士紹介

-
- 税理士
- 越智 文夫(オチ フミオ)
-
- 所属
-
- 東京税理士会
-
- 経歴
-
昭和24年、東京都生まれ。東京経済大学卒業。
「人のためになる仕事をしたい」「巡り合った方のお力になりたい」と考え、税理士を志す。
大学卒業後に税理士資格を取得。昭和55年池袋に事務所を構え、以来38年、個人・法人に関係なく様々な方のご相談を伺い、税務申告や会計業務でお悩みの解決をサポートしている。
Office Overview
事務所概要
事務所名 | 税理士法人HOPEオフィス |
---|---|
所属 | 東京税理士会 |
税理士 | 越智 文夫(オチ フミオ) |
所在地 | 〒171-0022 東京都豊島区南池袋2丁目31番5号 南大和ビル3階 |
電話番号 | 03-3987-5301 |
対応時間 | 平日 9:00〜17:00(事前予約で時間外対応可能) |
定休日 | 土・日・祝(事前予約で休日対応可能) |
