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自動車の相続税はいくら? 評価額の計算方法について具体例を挙げて解説

自動車も相続税課税対象の財産です。被相続人が有していた財産の中に自動車が含まれているときは、自宅や宅地、現金、預貯金などの財産と同じように相続税の計算に含めなければなりません。

 

当記事では、自動車と相続税の関係について言及し、納付額を算定する上で重要な評価方法を説明します。

相続税計算の基本

相続税を把握するには、相続人らの取得した財産を合計し、その遺産の総額に対応する課税価格をまずは導き出さなければなりません。その上で税率を乗じ、控除を適用するなどの計算過程を経て、各人の納付額が定まります。

 

そこで遺産の総額を明らかにするため、被相続人が持っていた自動車の価格を評価する必要があります。

自動車の評価方法は1つではない

物の価値は、購入時点から下がっていくものが多いです。自動車についても同様で、古くなるほど基本的には価値が下がっていきます。

 

その分を考慮して自動車の評価を行いますが、評価の方法は1つではありません。

大きく①調達価格から評価する方法と②減価償却により評価する方法の2つに分けることができます。

 

まずは調達価格から評価するのが原則で、調達価額が不明なケースでは、減価償却により評価を行います。

調達価格から評価する方法

調達価格とは、「評価時点において、同じものを買う場合の価格」を意味します。

 

新車で購入した自動車でも、購入から数年たっているのであればすでに中古車です。

そのため購入したときの価格を現在の価格と捉えることは妥当ではなく、その時点での状態を踏まえた査定をしないといけません。

売買実例価額を調べる

調達価格は「売買実例価額」から調べることができます。要は業者が買い取るときの価格のことです。

以下の情報をもとに、中古車販売サイト等から相場を把握できます。

 

  • 車種
  • 年式
  • 事故歴
  • 走行距離

 

同等の条件を満たす自動車が見つかれば、その価格を参考にできます。

ただし、表示の価格には取扱店の利益が加算されていますので、利益分を控除して売買実例価額を算定します。

精通者意見価格を調べる

売買実例価額がわからないときは「精通者意見価格」で評価します。要は専門家が査定したときの価格のことです。

 

よく流通している自動車であれば売買実例価額も比較的容易に算定できますが、希少な車種、高級車などは評価するのが難しいケースもあります。そのような場合は買い取り業者などに自動車を見てもらい、査定を受けます。

減価償却により評価する方法

調達価格の調査が難しいときは、減価償却により評価額を算定します。

要は小売価格から経過年数に対応する償却費を差し引いて評価するということです。

 

差し引く減価償却費は、次の計算式から求めることができます。

 

減価償却費 = 未償却残高×償却率

 

償却率は、耐用年数に以下のように対応しています。

 

耐用年数

償却率

改定償却率

保証率

2年

1.000

-

-

3年

0.677

1.000

0.11089

4年

0.500

1.000

0.12499

5年

0.400

0.500

0.10800

6年

0.333

0.334

0.09911

201241日以降に取得した場合に適用

 

上表にある「保証率」を取得金額に乗じて定まるのが「償却保証額」です。

減価償却後の残高が償却保証額以下になると、適用するのが償却率から「改定償却率」へと変わります。

 

これらを踏まえ、普通自動車と軽自動車について評価してみます。

普通自動車の場合

普通自動車の耐用年数は下表の通りです。

 

 

耐用年数

新車

6

中古車

(新車で購入したときの耐用年数-経過年数)+経過年数×20%

で計算

1年未満は切り捨てる

中古車(6年経過)

2

 

例)1年経過の普通自動車

耐用年数:(6年-1年)+1年×20% = 5+0年(0.2年)

                                                                   = 5年

例)5年経過の普通自動車

耐用年数:(6年-5年)+5年×20% = 1年+1年

                                                                   = 2年

 

次に、500万円の普通自動車、耐用年数4年の中古車の場合の計算例をまとめます。

 

 

計算式

評価額

1年

500万円-(500万円×0.5

250万円

2年

250万円-(250万円×0.5

125万円

3年

125万円-(125万円×0.5

62.5万円

4年

65.6万円-(62.5万円×1※)

0万円

 

償却保証額は「62.495万円」です。4年を経過するとその額を下回るため、適用するのが償却率から改定償却率へと変わっています。

軽自動車の場合

次に軽自動車についてです。耐用年数は次の通り、普通自動車に比べるとシンプルに定まります。

 

 

耐用年数

新車

4

中古車

2

 

普通自動車との違いは耐用年数にありますので、中古の普通自動車と新車の軽自動車で同じ耐用年数4年になるケースだと、同じ割合で減価償却されていきます。

 

500万円の軽自動車であれば、250万円、125万円、62.5万円・・・と経過年数に応じて同じ評価額になります。

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  • 税理士
    越智 文夫(オチ フミオ)
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    • 東京税理士会
  • 経歴

    昭和24年、東京都生まれ。東京経済大学卒業。

    「人のためになる仕事をしたい」「巡り合った方のお力になりたい」と考え、税理士を志す。

    大学卒業後に税理士資格を取得。昭和55年池袋に事務所を構え、以来38年、個人・法人に関係なく様々な方のご相談を伺い、税務申告や会計業務でお悩みの解決をサポートしている。

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