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生前贈与を受けた場合でも相続放棄は可能!注意すべきポイントとは

生前贈与を受けていたとしても相続放棄はできます。

しかし生前贈与を受けた方が想像放棄をするとき、いくつか注意しておきたいポイントがあります。

 

当記事ではその注意点を紹介します。

贈与を受けていても相続放棄はできる

生前贈与とは、被相続人が存命のうちに他人へ財産を無償で譲与することを意味します。贈与の契約は贈与者と受贈者の合意によって成立し、裁判所の関与は不要です。相続とは異なる手続きで行われ、相続放棄の制度とも関係はありません。

 

そのため、ある方が昔に贈与を受けていたかどうかには関係なく相続放棄を行うことは可能です。

ただ、生前贈与とは別にしても相続放棄本来の要件は満たさないといけません。

 

《 相続放棄の要件 》

 

  • 相続放棄が相続人の真意に基づくこと
  • 相続開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを行うこと
  • 法定単純承認(遺産の処分等により相続を受け入れたと法的にみなされること)が成立していないこと

受贈者が相続放棄をするときの注意点

生前贈与を受けた後に相続放棄をすることは可能ですが、以下の点には注意してください。

 

  1. 被相続人の債権者によって贈与が取り消される可能性があること
  2. ほかの相続人から遺留分侵害額請求を受ける可能性があること
  3. 相続税の課税を完全に回避できるとは限らないこと

債権者からの贈与取消の請求

贈与時点で贈与者が債務超過の状態にあり、その事実を受贈者も知りながら贈与を受けたのであれば贈与者の債権者から贈与を取り消される可能性があります。

 

これは民法に規定されている「詐害行為取消権」に基づく請求であり、一定要件を満たすときは相続放棄をしていたとしても過去の贈与が取り消されることがあるのです。

 

債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者・・・がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。

引用:e-Gov法令検索 民法第424条第1

 

ただし、「贈与を受けた方がその贈与によって債権者を害することを認識していない」あるいは「贈与時点で贈与者には十分な資力があり、贈与財産以外から弁済ができる状態にあった」のなら詐害行為取消権は行使できません。

 

また、当該権利を債権者が行使できたとしても、相続放棄自体が取り消されるわけではありません。

相続人からの遺留分侵害額請求

相続制度には「遺留分」という概念があります。

 

これは特定の相続人に認められる最低限の遺産の取り分を意味します。遺贈等により遺産がほとんど受け取れなくなる場合でも、遺留分権利者なら遺留分侵害額請求を行うことによって受遺者等から金銭の支払いを受けることができる仕組みになっています。

 

そしてこの請求は相続人間のみで行われるものではなく、遺贈を受けた第三者に対しても行使することができます。そこで生前贈与が遺留分の侵害にあたると評価された場合、受贈者が相続放棄をしているかどうかを問わず遺留分侵害額請求の対象となります。

 

なお、生前贈与は基本的に遺留分の侵害とは評価されません。贈与時点でそれは遺産ではないからです。
ただし贈与が相続開始直前であって、内容も非常に高額、遺留分権利者に損害が生じることを認識していた、など特別の事情があれば例外的に「生前贈与により遺留分が侵害された」と評価される可能性もあります。

相続税の課税

相続税の課税を受けるのは相続人だけではありません。

 

たとえば遺言により遺産を受け取った受遺者もそうですし、受贈者についても①相続時精算課税制度の適用を受けるケース、あるいは②生前贈与加算が適用されるケースだと、相続税の負担が生じることがあります。

 

①相続時精算課税制度の適用を受けるケース

贈与時に手続きを行い、贈与財産について相続開始後に課税の精算を行うこととしていたケース。

特定の血縁関係にあるなど要件を満たした場合にのみ適用可能。この制度を利用しているときは相続放棄をしても贈与財産は相続税の課税対象財産になる。

②生前贈与加算が適用されるケース

相続開始前37年以内の贈与財産についても相続税の課税財産に加算する仕組みが生前贈与加算。

ただし相続または遺贈により遺産を取得していた方が対象であるため、相続放棄によって、生前贈与以外に相続税が課税される財産を一切取得していないのなら適用対象外。

 

相続については、相続人との関係、債権者との関係、あるいは課税上の関係からトラブルになることも珍しくありません。

相続放棄をしても完全にその問題が切り離せるわけではありませんので、揉め事については弁護士に、相続税や贈与税の問題については税理士に相談しながら対処していくことが望ましいでしょう。

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越智税理士の写真
  • 税理士
    越智 文夫(オチ フミオ)
  • 所属
    • 東京税理士会
  • 経歴

    昭和24年、東京都生まれ。東京経済大学卒業。

    「人のためになる仕事をしたい」「巡り合った方のお力になりたい」と考え、税理士を志す。

    大学卒業後に税理士資格を取得。昭和55年池袋に事務所を構え、以来38年、個人・法人に関係なく様々な方のご相談を伺い、税務申告や会計業務でお悩みの解決をサポートしている。

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